人間が折り重なって爆発した

人間が折り重なって爆発することはよく知られています。

ヴ日記

・「神の子どもたちはみな踊る」を読んだ。

どれも良かったが、最後の話が良かったですね。阪神大震災に関連した短篇集ということもあるのだろうが、初期の村上春樹の短編とはまた違ったものを書いているように思う。面白さ優先みたいなセンテンスも少ない。内容は面白い。

・「ロスト・シティZ 失われた黄金都市」見た。ネットフリックス。

南アメリカのジャングルの中で古代人の都市を探し求めたイギリス人探検家パーシー・フォーセットの伝記的映画。意欲はあるが勲章のない中年士官がベル・エポックの時代から第一次世界大戦、そして戦間期に至るまでの話で個人的には好き。映画の作りとしては丁寧だけど特に突出したものはない気はする。最初はボリビアの国境線調査として赴くが、途中からは古代遺跡探索に憑りつかれる。ボリビアの最後の人里が「闇の奥」っぽくて良い雰囲気。ジャングルの中のオペラ。鬱屈としたゴム農園主。漫画肉みたいになって木に巻き付けられて運搬される天然ゴム。キップリングの詩。ボリビアの川をさかのぼる船が竹で出来た筏に見えるのだが、南米って竹が多いのだろうか。ドイルの「失われた世界」でも竹林が出てきた気がするが。第一次世界大戦でソンムの塹壕に突然ロシアの占い師が出てくるのは笑う。1916年9月26日のソンムの戦いが描かれる。その十日ほど前の15日のソンムは初めて戦車が歴史上実戦投入された日だが、別にマークⅠは出てこない。「失われた世界」で出てくるような公会堂での演説と野次が映像になってるのはちょっと感動した(それもそのはずで「失われた世界」はフォーセットの影響を受けているわけで、ドイルは同時代人である)。

・「さらば復讐の狼たちよ

辛亥革命後に混沌している中国辺境で山賊が県知事になりすまして地主をぶっ飛ばす映画。これはかなり良い。ハリウッドというか欧米映画にないノリを感じる(私の了見が狭いだけだが)。冒頭に馬列車で県知事と夫人と書記官がクソデカい火鍋を囲っているシーンがあり、それだけで大正解になってしまう。湿地の中に県の城があり、太鼓を叩いて迎えてくれる女たち、クソデカい太鼓と暴漢にいじめられて蹴られ続ける町人など。大通りで金と銃を町民に配るシーン。モーゼル銃っていうんですかね、あの独特な形の拳銃。ともかく良い映画である。全体的にギャグ要素が多いが、締めるところは締めている。山賊と地主のヤクザ闘争の間にヘタレな書記官が挟まるのが良い。この書記官は女にも金にも権力にもだらしないが、ある意味ではとても正直な日和見主義者であり、時に感情をむき出しにする。ストーリー上でも二人はこの書記官を上手く交渉の緩衝材に使う。解説記事を読むと冒頭の馬列車は社会主義を意味するらしいが、冒頭でその馬列車は山賊に破壊されるものの、ラストでは財を得た棟梁の手下がそれに乗り込み、無邪気に上海に向かって行くなか、財も名誉も女も欲しがらず貧しい民衆に尽くした棟梁だけが馬に乗ってとぼとぼその列車の後をついていく。これがまたたまらなくエモくて良い。チアン・ウェン監督はけっこう有名らしいので機会があれば見ていきたい。

あと、最近は1910~1930年の中国を舞台にした映画をいろいろ見たいなあと思っている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E4%B8%AD%E8%8F%AF%E6%B0%91%E5%9B%BD%E6%99%82%E4%BB%A3%E3%82%92%E8%88%9E%E5%8F%B0%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E6%98%A0%E7%94%BB%E4%BD%9C%E5%93%81

このあたりを参考にして見ていきたい。あと以前から話題の中国で放送されている抗日ドラマの一群がとても気になっている。

・Violet ray

ひょんなことから、20世紀前半のアメリカで「Violet ray」というインチキ医療器具があることを知る。翻訳するなら「紫光線」? 発明はニコラ・テスラにさかのぼるらしい。

https://en.wikipedia.org/wiki/Violet_ray

大正時代にも日本に同類の「ヴィオラー」なる医療器具があったようで国会図書館デジタルアーカイブにあった。

https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/913789?tocOpened=1

よくわからんPDF資料

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsam1948/24/3/24_3_165/_pdf

WIREDの100年前の電気治療器具特集。ミネアポリスのBakken Museumというところに大量にそういう器具が展示してあるらしい。暴動で燃えてないといいですね。

https://wired.jp/2015/03/14/strange-antique-medical-devices/

アメリカのインチキ電気医療器具をまとめた本があるらしい。

https://www.amazon.co.jp/Body-Electric-Strange-Machines-American-ebook/dp/B00AIQE12Y/ref=tmm_kin_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=

英語のウィキペディアにある電気療法の一覧にマトモなやつとエセなやつが混合して載ってる。

https://en.wikipedia.org/wiki/Category:Electrotherapy

 ・「クソデカ羅生門

というのが流行っていたらしい。こういうのはサンプリングの面白さだと思うので、なんかもっといろいろやれそうである。サンプリング、カットアップ、リミックス。

https://anond.hatelabo.jp/20200611125508

・「みそは入ってませんけど」

最近は通称:みそ兄貴のブログを楽しみにしている。だいたい全ての記事が面白い。勝てない。やるしかねえ。

https://not-miso-inside.netlify.app/blog/

以上。

秘封風アルバム「北海道調査~Traces of Utopian Civilisation」のストーリー日本語訳

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フランス人・Aka Kyuketsuki氏による秘封風アルバム「北海道調査~Traces of Utopian Civilisation」という素晴らしい東方二次創作作品がある。

https://akakyu.bandcamp.com/album/traces-of-utopian-civilisation

東方Project好きにしか伝わらない話ではあるが、ツイッターや同人誌では何度かその楽曲の素晴らしさを紹介してきた。この作品は東方風といったジャンルに属するもので、東方風とは東方projectっぽいオリジナル楽曲のことである。「北海道調査」はその中でも特に秘封CDに寄せた作品で、再現度と曲のクオリティが凄まじい。

さて、実はこのアルバムには秘封CDの原作と同じようにきちんとした背景ストーリーが付いている。ストーリーは氏がアップしているYoutubeの各楽曲で読めるのだが、全て英語である。


[Touhou-Style Composition] ToUC Track 1 : The Theorists' Interpretation of "Fantasia"

(一曲目「The Theorists' Interpretation of "Fantasia"」より始まる一連の動画の概要欄にそのストーリーが載っている。)

そこで、今回はそのストーリーとあとがきの全文を日本語に翻訳したのでご紹介する。(一応Aka Kyuketsuki氏ご本人には了承を頂いています。)

BandcampやYoutubeで聴きながら読んで頂けると嬉しい。

 (アルバム全体の曲だけを聴くならBandcampの方が便利だろう。ただし、最後の隠しトラックをウェブ上で聴けるのはYoutubeのみである。Bandcampから無料ダウンロードすれば隠しトラックも聴くことができる)

1曲ごとに英文→日本語訳の順番でご紹介する。

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*El Dorado, a mythical golden city whose existence is mentioned only in tales of old.
- The Duo explores the enigma shrouding this Utopia.*

#01 The Theorists' Interpretaion of "Fantasia"

"Oh, this looks interesting."
"What does, Merry?"
"Ever heard about El Dorado? This book's talking about it."
"Myths about gold and greed, huh?"

Many tales about this city of gold exalted men through history.
Despite being described in history books, El Dorado remains yet a mystery.
In this current Japan, such a place would have already been discovered and exploited by scientists.
However, fairytales are long forgotten and humiliating to genuinely believe.

The tangible and intangible share a thin border in literature, as myths hold different metaphors and interpretations.
Every fairytale holds a moral to follow, to bring understable and necessary catharsis for all.
To warn men about their flaws and to purify their souls.

"What if this city was stuck between illusion and reality?"

昔話にしか出てこない神話の黄金都市エルドラド。
今回の秘封倶楽部はこのユートピアに潜む謎を探ります。

#01話 理論家たちによる「ファンタジア」の解釈*1

「あ、これ面白そう」
「何のことよ、メリー?」
「エルドラドって知ってる?この本に書いてあるんだけど」
「金と強欲にまつわる神話よね、たしか」

この黄金都市について書かれた多くの物語は 歴史を通して人々を熱狂させてきた。
史書に記されているにもかかわらず、エルドラドはまだ謎に包まれたままだ。
現代の日本では、そのような場所はすでに科学者によって発見され、開発されてしまっている。
しかしおとぎ話は長い間忘れ去られており、真に受けるような人はいない。

神話において有形と無形の境界が薄いのは、それが異なる比喩や解釈を持っているからである。
すべてのおとぎ話には、人々に不安定で必要なカタルシスをもたらすような、従うべき教訓が含まれている。
人々の欠点を警告し、魂を浄化するために。

「もしこの都市が幻想と現実の間にまだ滞っているとしたら?」

#02 Refreshing Earth of Krummholz / "Recollection of Snow and Gold"

"So you're saying this legendary city is likely to exist?"

It was no uncommon task for men to search and risk their lives to cleanse their hearts of doubt.
The search for El Dorado was an arduous journey, but all who sought the city of legend had one common goal in mind: Glory.
A man, a king, a city, a kingdom and even an empire: these were all considered to be of El Dorado.

"I remember seeing a powerful light coming from snowy mountains. It was probably located in the North of Japan."
"I have to say, most of your dreams usually bring us closer to fantastic discoveries."
Maribel paused.
"You know, this time I want to approach this in a more careful manner."
"Are you still doubtful since the TORIFUNE incident? We aren't obligated to go if you don't feel like it."

The dreams Maribel witnessed were no illusions. It's quite a grey area to even call them dreams.
During an expedition on the TORIFUNE Satellite,
Maribel got attacked by a chimera-like monster and got injured in the process.
She knows what Renko sees as dreams shouldn't be treated as such.

"...But knowing you, you wouldn't have brought up this subject if you weren't ready to go, am I right?"
"You read my mind like an open book, Renko. I want to see it with my own eyes."
"To Hokkaido it is, then."

#02話 クルムホルツの爽やかな大地/Recollection of Snow and Gold

「この伝説の街は存在する可能性が高いってこと?」

疑念を晴らすために命をかけて探検するのは、男たちにとっては珍しいことではなかった。
エルドラドを探すのは困難な旅だったが、伝説の街を求める者たちは共通の目標を持っていた。栄光だ。
男、王、都市、王国、帝国までもがエルドラドのものと考えられていた。

「雪山から出た強い光を見たのを覚えてるのよね。たぶん、日本の北の方だと思うのだけど」
「メリーの夢は何でも幻想的な発見につながるんだから」
メリーは立ち止まった。
「今回はもっと慎重にやりましょう」
「鳥船のことをまだ疑ってるの? あなたにその気がないなら、別に行かなくたっていいのよ」

メリーが見た夢は幻ではなかった。夢と呼ぶにはかなりグレーな領域だ。
トリフネ衛星への旅行中にメリーはキメラのような怪物に襲われ、途中で怪我をしてしまった。
蓮子が見たものを夢として扱うべきではないことを彼女は知っている。

「……でも、あなたのことを知ってるから言うんだけど、覚悟がなかったらこの話を持ち出さなかったわよね?」
「あなたは私の心を開いた本のように読んでいるのね、蓮子。私はこの目で見てみたいのよ」
「北海道まではね」*2

#03 Hidden Under the Willows ~ Ancient Backwoods / "Frozen Wilderness Expedition"

"There we are Renko! We made it!"
"Are you sure we're at the right peak?"

Below the soft snowy sky, the duo was exploring the area excitedly.
After a while, they stumbled upon a strange structure.

"Oh, this structure...
If I'm not mistaken, isn't this a Shinto shrine?"
"I had no idea there was a shrine hidden in Hokkaido's mountains..."
"Sometimes, you can find the most unexpected things in unexplored places."
"What is it honoring anyway? A cult of some sort?"
Maribel didn't respond: she had no idea how to.

Shrines are structures created by man, made to accommodate the worship a superior entity or higher power.
However, it wasn't certain whether this remote shrine's god was benevolent or not.

"Descend, bold traveller, into the crater of the jökull of Snæfell,
of which the shadow of Scartaris touches before the Kalends of July, and you will reach the centre of the earth."
"What are you saying, Merry? Did you read too much Jules Verne?"
"Perhaps? I have been reading quite a few novels lately. I just noticed the similarity, that's all.
Maybe he witnessed something in his dreams, then wrote it down in the form of fiction?"
"Or he just got inspired from other authors.
In the world of literature, there's no way to distinguish reality and fantasy after all."

Behind the shrine was a mysterious entrance to a cave, deep enough to emphasise both the pitch-black darkness
and the faint light and heat of magma.

"Let's do this, Renko." 

#第03話 柳の下に隠れて ~ Ancient Backwoods/Frozen Wilderness Expedition

「着いたわ、蓮子!やったわね!」
「本当にこの山頂でいいの?」

柔らかな雪空の下、二人は興奮しながら辺りを探索していた。
しばらくすると、奇妙な構造物に出くわした。

「あ、これって……神社じゃないかな?」
「北海道の山の中に神社があるとはね……」
「秘境には意外なものが見つかることもあるのよ」
「何を祀っているのかしら? 何かカルトの類?」
メリーは答えなかった。

神社は人間が作った建造物で、優れた存在や高次の力を崇拝するために作られたものだ。
しかし、この辺鄙な神社の神が慈悲深いのかどうかは定かではなかった。

「"大胆な冒険者よ、七月一日の前にスカルタリスの影が掻き撫でるスネッフェルスのヨクルの火口の中に降りよ、そうすれば地球の中心にたどり着くだろう"」*3
「何を言ってるの、メリー? ジュール・ヴェルヌを読み過ぎたの?」
「まあね? 最近、かなりの数の小説を読んでるのよ。似ていると思っただけ。ヴェルヌは夢の中で何かを見て それを小説にしたんじゃない?」
「あるいは他の作家に影響を受けて書いたのかもね。文学の世界では結局、現実と空想*4の区別がつかないもの」

神社の裏手には洞窟への不思議な入り口があり、真っ暗な闇の中にありながらもマグマの微かな光と熱気があった。

「行くわよ、蓮子」

 

#04 Curious Capital of Sheen and Beauty

The mountain peak the duo entered seemed to be an active volcano.
Deep inside the cave, The magma was calmly flowing.

The girls walked down slowly, following a small path led by the cave.
In front of them was a light that seemed to be different from the one from the magma below.
They walked towards the light...

"Tell me I'm dreaming right now. I've seen unbelievable things when crossing these barriers, but this..."
"Everything is made of gold ! Is this city that rich?"

Gold intricately ornamented every structure in sight, glittering radiantly under the blazing sun.
Remarkably different from the view of the monotonously dull, towering structures of Japan's skyscrapers,
the girls' vantage point presented them a small view of a cozy village instead.

"We're not mistaken! El Dorado! We made it"
"The legend of this city has been around for ages, yet nobody found it... I wonder why."
"I'm pretty sure there're a lot of people who have already found this place. In their dreams, at least.
But the existence of this place is best kept secret."
"Ah right, this amount of gold could effortlessly ruin the world's economy."
"That's right. Sometimes, keeping secrets isn't as bad as speaking a chaos-inducing truth.
I'm sure other people who found it also thought like us."

Renko looked at one of the houses closely, then poked its surface.

"Although... I don't think this is pure gold. 24-carat gold is way too soft to hold anything together."
"Quite the clever statement, Renko. Observing anything from a scientist's eye, don't you?"
"Heh, well it's necessary to evaluate the goods of this utopia, after all."

Maribel started to look at the dim sky. It was no longer a rocky roof, as it let its place for an afternoon sun.
"There was a legend that this gold was made from the greed of Hell's vengeful spirits."
"So you're saying all this gold comes from the dead? That's creepy..."
"Gold also causes humans to be greedy, and when the said humans die, they become gold. It's a vicious cycle.
Also, those with malevolent minds might also have metals like mercury and arsenic formed using the same method, too."
"Merry, don't scare me like that."

#第04話 輝きと美しさの奇妙な都

二人が入った山頂は活火山のように見えた。
洞窟の奥深くでは、マグマが静かに流れていた。

少女たちは洞窟の脇にある小道を辿りながら、ゆっくりと下っていった。
彼女たちの前には、下のマグマとは違う光が見えた。
彼女たちはその光に向かって歩いていった……。

「私は夢を見ているのかしら。今まで結界を越える時には信じられないものを見てきたけど、これは……」
「全て黄金でできてる!この街はそんなに裕福なのかな?」

炎天下の太陽の下で、金が複雑に装飾され、きらびやかに輝いていた。
単調で冴えない日本の高層ビル群とは一線を画している。
少女たちの視線の先には居心地の良い村の小さな景色が広がっていた。

「私たちは間違っていなかった!エルドラドよ!やったわ!」
「この街の伝説は古くからあるのに、誰も見つけられなかった……どうしてだろう」
「すでにこの場所を見つけた人はたくさんいるはずよ。少なくとも夢の中ではね。だけど、この場所の存在は秘密にしておくのが一番だわ」
「あ、そうか。これだけの黄金があれば世界の経済は簡単に崩壊してしまうわね」
「その通り。カオスを導く真実を話すより秘密を守る方がマシよね。ここを見つけた他の人たちも、きっと私たちと同じように考えたのでしょうね」

蓮子は一軒の家をよく見てから、その表面をつついた。

「とはいえ……これは純金じゃなさそうね。24カラットの金は何かを支えるには柔らかすぎるもの」
「気の利いた発言ね、蓮子。あなたは科学者の目線で観察しているのね」
「うん、まあ、結局のところ、このユートピアの商品価値を査定する必要があるのよ」

メリーは薄暗い空を見始めた。そこはもはや岩の屋根ではなく、午後の太陽が輝いていた。
「この黄金は地獄の復讐に燃える精霊の欲から作られたという伝説があった」*5
「この金塊は全て死者のものだってこと? 気味が悪いわね……」
「金は人間に欲を抱かせ、その人間が死ねば金になる。悪循環ね。悪意のある人は水銀やヒ素なんかの金属も同じような方法で作っているのかも」*6
「メリー、怖がらせないでよ」

 

#05 Orwell's Quarantined Utopia / "Neo-Utopian City"

As the girls continued exploring the city, they noticed this place wasn't exactly empty.
There were actually quite a few people around, as if it were all a huge market place.

"Let's have a look around, shall we?"
"Yes, I'm pretty excited, actually!"

The stalls were selling ordinary things. Fruits, vegetables, meat, fishes...

"This food looks like the real deal, that's impressive."
"So, do you think we can buy any rare items here?"
"I hope so, bringing home a little souvenir from this place sounds like a dangerous yet exciting thing to do."
"Ah, I didn't bring my wallet though. Do you think I can snatch one gold ingot and trade it? Haha."
"What currency do you think they use here anyway?"
"I'd like to state the obvious, but it seems we'll have to see how it works ourselves."

The girls walked towards the many stalls that were available.
There weren't too many people around, and nobody saw the duo as strangers.
It was then that a delicate and familiar smell wafted under their nose. It was the smell of tempura.
"Man, all this food around, I'm so hungry..."
"Renko, did you skip breakfast this morning?"
"Well, I thought this wasn't too much of a loss, but now I regret it immensely..."
"Can't be helped; let's find out if we can buy some food then."

They quickly looked at a passerby to observe what currency would be used. As he approached an apple stall,
the man waved to a merchant and observed the fruit.
Surprisingly, he left with it without paying anything.

"Hey... Isn't that stealing? Could that mean everything here is free to take?"
"That's a peculiar system. No currency whatsoever? Looks like this city is actually richer than we thought."
"Say, I think we clear any doubts before getting in trouble."
"I agree, let's ask the merchant."

As they advanced, the merchant noticed them and waved them welcome with a smile. Renko decided to start the conversation.
"Excuse me..."

Renko was greeted back with a crude expression of pure horror. Everyone stopped to look at the duo, terrified.
"Err, I mean..."

The merchent hesistantly gestured for her to come closer. He began to whisper:
"Please stay silent. Take what you need and leave."

#05話 オーウェルの隔離された黄金世界/Neo-Utopian City

彼女たちが街を探索しているうちに、ここは決して誰もいない場所ではないことに気がついた。
まるで巨大な市場のように、かなりの数の人が集まっていた。

「ちょっと見ていかない?」
「もちろん。実はかなり興奮してるのよ!」

露店では普通のものが売られていた。果物、野菜、肉、魚……

「食べ物は本物みたいね。すごいわ」
「ここで珍しいものが買えるのかな?」
「そうだといいわね。ここからちょっとしたお土産を持って帰るのは、危険だけど面白そうだし」
「あ、財布は持ってきてないんだった。金のインゴットを一つ取ってきて、それと交換できると思う? あはは」
「ここでは何の通貨を使っていると思う?」
「はっきり言えるのは、自分たちで見てみるしかなさそうだってことね」

二人は、たくさんの屋台が出ている方へ歩いていった。
周りにはあまり人がおらず、誰も二人を外から来た人間だとは見ていない。
その時、彼女たちの鼻のもとに美味しそうな慣れ親しんだ匂いが漂ってきた。それは天ぷらの匂いだった。
「ねえ、周りの食べ物のせいでお腹が空いてきたわ……」
「今朝の朝食を抜いてきたの、蓮子?」
「まあ、大した損じゃないと思ってたんだけど、今になって大いに後悔してるわ……」
「しょうがないわね、食べ物を買えるかどうか調べてみましょう」

二人はすぐに通りすがりの人を見て、どんな通貨が使われるのか観察した。男はリンゴの屋台に近づくと、商人に手を振って果物を見ていた。
驚いたことに、彼は何も払わずにそれを持って立ち去った。

「ねえ……、あれって泥棒じゃないの?ここは何でも自由に取っていいってこと?」
「変なシステムね。通貨がないってことかしら? この街は思ってたより豊かなようだし」
「トラブルに巻き込まれる前に疑問を解消した方がいいわね」
「そうね、店の人に聞いてみましょう」

二人が進むと、商人は彼らに気付き、笑顔で歓迎の手を振った。蓮子は会話を試みることにした。
「すみません……」

蓮子は、純粋な恐怖を伴った粗野な表情で挨拶を返された。誰もが恐怖に怯えて立ち止まり、二人を見ていた。
「えーと、その……」

商人は躊躇して、彼女が近くに来るように手招きした。彼は囁き始めた。
「静かにしてください。必要なものは持って帰ってください」

 

#06 The Undecided Fate of the Altered Strings / "Golden Dream, to a Nightmare"

Speech is silver, silence is golden.
Language has always remained the first manner of intersubjectivity in every part of our society.
Was it a social ethic to remain silent in this golden world? Or was it something else to repress it?
The duo rushed to an empty alley to reflect.

"Now that was creepy."
"So that's why nobody was saying a thing... That's good to remember."
"Say Merry, I know we're in a totally different world here, and their ethics could easily be different than ours,
but I think something wrong is going on in this place."
"Something even more unusual is happening. Renko, the merchant did talk to you, right?"
"He did... Wait, are you implying..."
"Exactly, are we even dreaming in the first place?"

When Maribel shared her dream with Renko in order to pass through the Ame-no-Torifune shrine's barrier,
only she was physically affected by the rules of that world.
Renko could only witness that world immaterially, like a dream. She could not interact, only see.

"I'm pretty sure we went to sleep together to experience a shared dream. Did something go wrong?"
"I don't know, but people shouldn't be able to see you."
"This is getting dangerous, I think we should try to wake up."
"It won't be that easy. If it was really a dream, then consciously waking up would still be a hard thing to do.
And if this is reality, then we'd need to get out of here and go home by foot."
"Hokkaido to Kyoto by foot? No way..."
"I suppose we'll need to solve more mysteries than expected."

 #第06話 変更されたひもの未定な運命/Golden Dream, to a Nightmare

雄弁は銀であり、沈黙は金である。
言語は常に私たちの社会のあらゆる部分で、相互主体性の第一の方法であり続けてきた。
この黄金の世界で沈黙を保つことは社会倫理だったのだろうか? それとも、それを抑圧するための何か別のものだったのだろうか?
二人は相談するために誰もいない路地へと急いだ。

「今のは不気味だったわ」
「だから誰も何も言わなかったのね……覚えておかないと」
「ねえ、メリー、ここは全く別の世界だし、彼らの倫理観が簡単に私たちとは違うものになるかもしれないのは分かってる。
でも、この場所では何か間違ったことが起きているような気がする」
「もっと異常なことが起きているわ。蓮子、店の人から話しかけてきたんでしょ?」
「店の人は……待って、それはつまり……」
「その通り、そもそも私たちは夢を見ているのかしら?」

メリーが天鳥船神社の結界を通り抜けるために蓮子と夢を共有した時、メリーだけが物理的にその世界のルールの影響を受けていた。
蓮子はその世界を夢のように非物質的にしか体験することができなかった。対話することはできず、見ることしかできなかった

「私たちは夢を共有するために一緒に眠りについたわよね。何か問題が起きたのかしら?」
「分からないけど、ここの人たちに見られないようにしましょう」
「危険だから起きた方がいいと思う」
「そう簡単にはいかないわね。本当に夢の中なら、意識的に目を覚ますのはまだ難しいわよ。そしてこれが現実なら、ここを出て徒歩で帰らないといけない」
「北海道から京都まで徒歩で?まさかね……」
「思ってたよりいろいろ謎を解く必要がありそうね」

 

#07 A Maiden's Nonsensical Bunraku / "Another Quantum State"

Illusion? Reality? The two were pretty uncertain.
Lucidity in a dream questions the proper nature of a dream and can turn the odds to the dreamer's favor.
Once the dreamer knows he's dreaming, his conscious dominates the subconscious and gains control over it.
In this situation, Maribel and Renko have no idea whether they are dreaming or not: they have lost control over it.

"Let's think about it, shall we?"
"I'll recap then."

Renko and Maribel decided to explore the city a little bit more, while whispering their thoughts to each other.

"We decided to go to sleep together in order to explore the place you mentionned in your dreams.
Then, when we got there, we discovered this shrine and found a cave leading to El Dorado. And there we are."
"Hmm, the question is, when did we cross the barrier? I should've been able to see it."
"That's true. Maybe your powers grew enough to share it with me."
"That's a possibility, however I think we should've woken up by now."
"We should consider ourselves out of a dream state for a subjective point of view."
"But this would mean everything we're seeing is real, right?"
"Well then, what do you think has happened to us?"
"...I think we might be stuck between two quantum states, just like Schrödinger's Cat."
"So we're both in a dream and reality, huh?"

In the past, since people couldn't often distinguish fantasy from reality,
there were many people with "fantasy-prone personality", a mind with a much greater imagination.
Perhaps they were just seeing a different world, and a majority of narrow-minded people rejected them for the sake of
being different?
There might be universal travelers who got stuck in a quantum state, living in both reality and fantasy.
Right now, in a world where science has advanced too far, fantasy is not quite a relevant topic anymore, however.

#第07話 少女の無意味な文楽/Another Quantum State

幻想か?現実か?その二つはかなり不確かだった。
夢の明晰さは夢の本来の性質に疑問を投げかけ、結末を夢見る人間の願望へと導くことができる。
夢みる人間が自分が夢を見ていると一度知ってしまえば、意識は潜在意識を支配し、夢をコントロールすることができる。
この状況では、メリーと蓮子は自分たちが夢を見ているのかどうか分からなかった。二人は状況をコントロールできなくなっていたのだ。

「もう一度考えてみましょう」
「復習ね」

蓮子とメリーは、お互いに考えを囁き合いながら、もう少し街を探索することにした。

「わたしたちはメリーが夢の中で言っていた場所を探検するために、一緒に眠ることにしたのよね。
そしてそこに着いてみると、神社を発見して、エルドラドに通じる洞窟を見つけた。それで、私たちは今そこにいる」
「うーん、問題はいつ結界を越えたのかってことね? 見えていたはずなんだけど」
「そうね。あなたの力が私と物理的な影響を共有するほど成長したのかもしれない」
「可能性はあるわね。でも、そろそろ目を覚ましてもいいはずなのよ」
「主観的には夢の状態から抜け出したと考えるべきだわ」
「だけど、それなら私たちが見ているものはすべて現実だということになるわよね?」
「じゃあ、私たちには何が起きたと思うの?」
「……2つの量子状態の間に滞っているんじゃないからしら、シュレディンガーの猫のように」
「夢と現実の両方の中にいるってこと?」

昔の人は夢と現実の区別がつかなかいことがよくあった。
「妄想癖のある性格」として、想像力をはるかに超えた心を持った人たちが数多く存在した。
もしかしたら彼らは違う世界を見ていただけで、
心の狭い大多数の人たちによって自分たちとは違うという理由で拒絶されていただけなのではないだろうか?
量子状態にはまり込んで、現実と夢の両方を生きている万国旅行者がいるのかもしれない。
しかし科学が進歩しすぎた今の世の中では、夢はもはや関心事ではなくなっている。

 

#08 Diamond Tears in the Palace

Lost in their thoughts, the duo stumbled across a gigantic building.
It was the tallest of the city, as well as the most noticably appealing to the eye.
They both decided to enter, in hopes of finding a few clues for solving the mysteries at hand.

As they advanced into the entrance, the warm sunlight gradually disappeared behind.
The inside had no windows, but was brightly lit thanks to diamonds reflecting artificial lights.

"Amazing..."
"Makes us really wonder if we're dreaming right now. Do you think someone lives here ?"
"I'd rather not intrude someone's home like that, but it is answers we're here to seek, I'm willing to take the risk."
"You're right, I'm with you."

Maribel and Renko slowly walked in the only corridor that was accessible through the hall.
Gold and Diamonds were everywhere in every form : stones, furniture, ingots...
Renko noticed a diamond cup filled with liquid gold, picking it up to inspect it more closely.

"This isn't right... If gold was this liquid, it would to be hot enough to melt this cup."
"Gold's melting point is 1064°C, correct ?"
"Exactly. Maybe it is fake gold after all."
"All these diamonds and gold; while they are valuable in the outside world,
they seem to have lost their value due to their common abundance here."
"Ah yes, this reminds me of a certain story I've read.
The kingdom of Laputa... Where people have full knowledge about maths and science, but fail to use them properly."
"Yeah, just like our world, knowledge like math and science were very valuable back then, just like diamonds and gold...
Nowadays, people acquire plenty of knowledge, but the majority also fail to make any practical use of it."
"Do you think the story of Laputa predicted the future, Renko?"
"Perhaps the author saw something from the future and got inspired to write his own book?
Or he might as well have crossed a border of reality and fantasy, too."
"I wonder... Maybe reality and fantasy do not have much difference, after all."
"Maybe, but it is necessary to define what makes fantasy, and what doesn't."

#第08話 宮殿の金剛の涙

思考に耽っていた二人は、巨大な建物に出くわした。
それは街の中で最も高いだけでなく、最も目を惹くものだった。
二人は手にした謎を解くための手がかりが見つかることを期待して、中に入ることにした。

入口に入ると、暖かな日差しが徐々に後ろに消えていった。
中には窓はないが、ダイヤモンドが人工の明かりを反射して明るく照らされている。

「すごい……」
「今の私たちは夢を見ているみたいね。誰か住んでるのかしら?」
「誰かの家に押し入りたくはないんだけど、求めていた答えがここにあるなら、ちょっとくらい危険を冒してもいいわよね」
「その通りね、私も一緒よ」

メリーと蓮子は、大広間を通って唯一通れる廊下をゆっくりと歩いた。
黄金とダイヤモンドがあらゆる形でそこらじゅうにあった:宝石、家具、インゴット……。
蓮子は液体の金で満たされたダイヤモンドのカップに気づいて、手に取ってよく見てみた。

「これはおかしいわね……この液体が金なら、カップを溶かすくらい熱くなっているはずよ」
「金の融点は1064℃だったわよね?」
「そうよ。やっぱり偽物の金かもしれない」
「ここにある全てのダイヤモンドと金は外の世界では価値があるけど、ここでは一般的に大量に存在するから価値を失ってしまったみたいね」
「ああ、そうそう、これは以前に読んだ物語を思い出すわ。ラピュータの王国*7という……人々は数学や科学の知識を持っていても、それを正しく使うことができないの」
「そうね、私たちの世界も同じように、数学や科学といった知識はダイヤモンドや金みたいに、当時はとても価値があったのよ……
今では多くの知識を得ることはできても、ほとんどの人はそれを実用的に使うことはできないわ」
「ラピュータの物語は未来を予言していると思う、蓮子?」
「もしかしたら、作者は未来から何かを見て、自分の本を書く気になったのかもしれないわね。あるいは彼もまた、現実と夢の境界を越えたのかもしれない」
「どうでしょうね……。結局、現実と夢は大差ないのかもしれないし」
「そうかもしれないけど、何が夢で何が夢でないかは定義する必要があるわ」

 

#09 Unseen Madness

After walking through the corridor and enjoying the fanciness of the palace, the duo arrived at a small room.
Video screens were everywhere, showing many facets of the city.

"Video screens? Looks like technology is more advanced than we thought."
"What on Earth is going on here... Is the city constantly being filmed?"

Maribel took a look around, but there was nobody here. It was only the two of them.
She then rested on a desk nearby.

"Who could be watching? It looks like someone was here before."
"They are either out, or this place is abandoned. Such a shame though, I wouldn't mind living here.
I'd definitely get rid of these devices though."

"Oh ? This is..."
"Found something, Merry ?"

Maribel picked up a book from the desk she was resting on and opened it.

"There's no title, and the writing style reminds me of a diary. It suddenly stops midway though."
"Lemme see!"

- 29th of June, a strange man has finally managed to enter the barrier protecting the city.
We did not have any visitors for quite a while, so this is kind of surprising.
Seems like only a select few can cross it, so I am not worried.
Those denied of greed are free to come and leave as they wish.
However, they mustn't stay here for too long. This place is set between illusion and reality.
When both the mind and the body are divided in two for too long, they break. I wish I could warn him, but I cannot leave.

After watching over this city during my entire reign, I realized people have started to fear me.
I don't understand, I'm doing this for our safety, this is why I must know everything.

"That's a creepy way a thinking, was he okay?"
"To make an entire city out of the gold of the dead, I don't think so."
"The book looks very old though, some pages are in shambles... Maybe he died a long time ago?"
"But the people are still remaining silent in fear of getting caught. Do they even know he died?"
"I don't think so. This rule of silence was maybe told generations to generations, to eventually become a myth to live by."
"That's sad... I'd love to tell them, but just like our society, some facts are best kept secret.
We'd be the crazy people here."
"Most importantly, I think we should go. All we have to do is to cross that volcano's barrier one more time, right ?"
"So it was that easy all along? Let's hurry!"

#09話 アンシーンマドネス

廊下を歩き、宮殿の豪華さを楽しんだ後、二人は小さな部屋に到着した。
いたるところにビデオスクリーンが設置されており、街のさまざまな様子が映し出されていた。

「ビデオスクリーン? 思ったより技術が進んでいるみたいね」
「ここで何が起こっているっていうの……街は常に撮影されているのかしら?」

メリーは周囲を見回したが、誰もいなかった。そこにいるのは二人だけだった。
彼女は近くの机の上に座った。

「誰かが監視しているのかしら? 以前に誰かここにいたみたいだけど」
「外出しているか、この場所を放棄したかのどちらかね。私なら全然ここに住んでもいいんだけど、残念だわ。でもこの装置は絶対に処分した方がいいわね」

「あれ?これは……」
「何か見つけたの、メリー?」

メリーは座っていた机の上に置かれていた本を手に取って開いた。

「タイトルもないし、日記のような書き方だし。途中で急に止まるんだけど」
「見せて!」

-月29日 奇妙な男がついに街を守る結界の中に入った。
しばらく人が来ていなかったので、これはちょっとした驚きだった。
越えられるのはごく一部の人間だけのようだから、心配はしていない。
欲望を絶った者は望むまま自由に出入りできる。
ただし、長居は禁物だ。この場所は幻想と現実の間に位置している。
心と体が二つに分かれたまま長く過ごせば、壊れてしまうだろう。
彼に警告できればいいが、私はここを離れることができない。

私は全治世の間、ずっとこの街を見守ってきた。やがて私は人々が私を恐れ始めていることに気付いた。
私には理解できない。私は街の安全のためにやっている。それが私がすべてを知っていなければならない理由なのだ。

「不気味な考え方ね。この人は大丈夫だったのかな?」
「死者の金で街全体が作られているんだから、そうは思えないわね」
「本は古そうだけど、何ページかはボロボロだし……ずっと前に死んだのかしら?」
「それでも人々は捕まるのを恐れてまだ黙っている。彼が死んだことを知っているのかな?」
「そうは思わないわね。沈黙のルールはおそらく何世代にもわたって語り継がれ、最終的には従うべき神話になったのよ」
「悲しい話ね……街の人たちに伝えたいけど、私たちの社会みたいに、いくつかの事実は秘密にしておくのが一番だわ。私たちはここでは狂人になってしまうのよ」
「一番大事なのは、私たちが出ていくべきだってことよ。あの火山の境界をもう一度越えるだけでいいのよね?」
「そんなに簡単なことだったの? 急ぎましょう!」

 

#10 Two Snowflakes Wafting Above One Big World

"There we are Renko, we made it!"
"Phew, so we should be back in a dream state now, right?"
"I hope so... Let's try it out. Can you fly?"
"On the count of three..."

The duo took a huge leap to the air and started to float along with the snow.

"Haha, this always feels great!"
"Maybe that's what could differ fantasy and reality?"
"Hm, did you say something, Merry?"
"Hmm, it's nothing. I was talking to myself a bit."
"Ah, I see."

Maribel didn't know, but Renko could already see what she was thinking about.
The border between these two quantum states is very thin, but definable.
Fantasy could be described as a world where there are no laws of physics, where anything can be possible.
Resurrection, infinite wealth, immortality, paranormal abilities...

However, fantasy needs, compared to reality, a host. Someone in control, someone who creates that universe.

"Hey, Renko?"
"?"
"That man the ruler described, the one who crossed the barrier... Do you think he was an author as well?"
"Well... It could be possible!"
"I'd like to write about it too.."
"That's actually a good idea. If that's what you want, I'd like to help you too."
"Thanks Renko."

#10話 一つの大世界の上に漂う二つの雪片

「着いたわ!蓮子、やったわね!」
「ふふっ、これで夢の状態に戻ったはずだよね?」
「そうだといいけど……。試しにちょっとやってみましょう。飛べるかしら?」
「三つ数えたら……」

二人は空に向かって大きく跳躍し、雪と一緒に浮かんでいった。

「あはは、ずっと気持ちいい!」
「それが夢と現実の違いなのかもしれないわね」
「ねえ、何か言った、メリー?」
「ううん、何でもない。ちょっと独り言を言っただけよ」
「ああ、なるほど」

メリーは知らなかったが、蓮子にはメリーがもう何を考えているのかが見えていた。
この二つの量子状態の境目は非常に薄いが、確定的なものだ。
夢とは、物理学の法則がなく、何でも可能な世界と言えるかもしれない。
復活、無限の富、不死、超能力……

しかし夢は現実と違ってホストを必要とする。支配する者、世界を創造する者が必要だ。

「ねえ、蓮子?」
「?」
「街の主が言っていた、境界を越えた男……彼も作家だと思う?」
「まあ……可能性はあるかもしれないわね!」
「私も書いてみたいなあって……」*8
「それはいい考えね。あなたが望むなら、私も力になりたいわ」
「ありがとう、蓮子」

 

# Afterword

Hello everyone, this is Aka Kyuketsuki! How have you been? Did you enjoy Touhou 16's demo?
I did, a lot.

I've been planning this CD since January, which is quite a lot. I got a bit lazy sometimes, but I also
had to focus on my exams and driving licence.

Worry not though, I passed both of them! Yey.
At first, I didn't want to pass too much time on the story, but as I was writing it with Kirbio, I realized we
were creating something really nice, so we got deeper into it ~

As for the songs, despite many mixing problems along the way, they got pretty much fixed, so I'm pretty proud of them.
Did you like them by the way? They should be the main interest after all lol.

Hope you'll enjoy these songs and the story as well, may they be memorable!

- Team alternative Ending : Aka Kyuketsuki (Can't wait for Touhou 16's full release!)

#あとがき

みなさんこんにちは、Aka Kyuketsukiです! 皆様いかがお過ごしでしたか?東方16thのデモ*9は楽しめましたか?
私は、かなり楽しみました。

このCDは1月から企画していたので、かなりの量になります。たまにぐずぐずしてしまったこともありましたが
私は試験と運転免許に集中しなければなりませんでした。

でも心配しないでください、両方とも合格しました!イェーイ。
最初はあまり時間をかけたくないと思っていたのですが、Kirbio*10と一緒に書いているうちに、
本当に素敵なものになっていったので、深みにはまってしまいました~。

曲に関しては、途中でミックスに問題があったにも関わらず、かなり修正されたので、とても誇りに思っています。
ところで、気に入ってもらえましたか? それが結局一番気になっています(笑)

楽曲とストーリーを楽しんでもらえれば幸いです。願わくは思い出に残るものになりますように。

- Team αlternative Σnding.:Aka Kyuketsuki(東方16thのフルリリースが待ち遠しいですね!)

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以上が翻訳全文です。

フランスから出てきた秘封風にジュール・ヴェルヌの「地底旅行」やミシェル・フーコーの「監獄の誕生」を下敷きにした感じの話が出てくるのでアツい。ジョナサン・スウィフトオーウェルも出てくるぜ、という感じ。良いですね。ともかくみなさん、「北海道調査~Traces of Utopian Civilisation」を聴きましょう。

 

ちなみに私が昨年末に寄稿した「この海外東方アレンジがすごい!」でもこの作品を取り上げています。

https://konokaitoa.tumblr.com/

他にも海外の東方風や様々な東方アレンジ、果てはVaporwaveまで食い込んだ話などが載っています。メチャクチャいろいろ書いたので、こちらもよろしくお願いします。

 

今回のこの翻訳記事は下記のDeepL翻訳を使用したのですが、かなり翻訳精度が良く、僕がやったことはいくつかの訳出エラーや語尾の修正くらいでした。

https://www.deepl.com/translator

これがあれば海外のウェブ上の同人関係のやつとか、未訳の電子書籍とかバンバン訳せる気がする。強すぎる。みなさんも使っていきましょう。 

それでは、また。

*1:曲のタイトルは基本的に氏がアップしているニコニコ動画版のものを採用した。各曲に対するコメントもこちらで読むことができる。

*2:漫画「ゴールデンカムイ」などで知られるように、北海道には実際に金鉱がある。そのことについては以前ブログに書いたりした。http://hiragi-noon.hatenablog.com/entry/2017/08/02/002621

*3:地底旅行」(ジュール・ヴェルヌ作、朝比奈弘治訳、岩波文庫)を参考とした。ジュール・ヴェルヌは最初のSF作家とも言われており、フランス人作家である。「地底旅行」の主人公らはアイスランドのスナイフェルスヨークトル火山の火口から地底の世界へと入っていく。

*4:基本的にfantasyの訳語としては「夢」を用いているが、ここでは「空想」としている。dreamの訳語も「夢」として用いているため、細かいニュアンスが伝わりにくくなっている部分があるかもしれない。この後も何度か「reality and fantasy」という言葉は出てくるが、基本的に「現実と夢」と訳している。

*5:東方茨歌仙にそんな設定があった気がする

*6:東方茨歌仙にそんな設定があった気がする

*7:ガリヴァー旅行記」(ジョナサン・スウィフト)に登場する架空の空中都市。Wikipediaには『第三篇を占めるラピュータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリッブおよび日本は、学究生活と科学とその他の諸々の事柄を風刺している。ラピュータで扱われているテーマは王立協会への痛烈な風刺と、更にはニュートンへの皮肉であったと広く考えられている』とある。現代日本人からすれば「天空の城のラピュタ」を想起するが、メリーが本を読んでいる旨の発言をするので「ガリヴァー旅行記」の方だろう。

*8:時系列的にどうやら「伊弉諾物質」の後で「燕石博物誌」の直前といった感じである。良い。

*9:「北海道調査」がネット上にアップされたのは2017年7月である。

*10:弾幕風のゲームを作成する海外サークル「Team αlternative Σnding.」のリーダー・Kirbio氏のこと。Aka Kyuketsuki氏はそのメンバーでもある。

同人誌を出します

東方同人小説を出します。

f:id:hiragi_noon:20181101210322j:plain

あらすじは以下。

f:id:hiragi_noon:20181101210350j:plain

日時:11月11日(日)12:00~16:00

開催イベント:科学世紀のカフェテラス

開催場所:京都市勧業館みやこめっせ

スペース:鳥-36「柊が丘」

 

出ます!!!!!!!!!!!!!!

人がいっぱい!!!!!!!!!!!!!!!!!

精子を念写する人

以前、以下の記事で明治の念写事件を紹介した。

脳から京大光線を放つ人 - 人間が折り重なって爆発した

この記事で参考にした「千里眼事件―科学とオカルトの明治日本」に福良竹亭という新聞記者の話が載っている。それについて少し書きます。

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「ブレードランナー2049」を見た感想

ブレードランナー2049」を見てきた。労働で疲労している時に見る映画ではなかったかもしれないが、なんとか乗り切った。良かった。

オタクが激褒めして一般にはあまりウケてないみたいな前評判を聞いていたがなるほどなと。全体として気怠いシーンもあり、変に話がややこしかったり、でもまあ前作もそんな感じだったよなという気がする(前作見たのが10年くらい前なのであまり覚えてない)。観客にも途中でいびきかいてる人いたしそういう感じ。

はい。

以下ネタバレ含む感想です。

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アメリカでカバを食肉用に牧畜する計画があった

先日、橋本輝幸さんが「River of Teeth」(サラ・ゲイリー)という小説を紹介されていた。

馬ではなくカバにまたがってやっていく歴史改変西部劇だそうです。

小説自体も面白そうなのだが、20世紀初頭にアメリカでカバを食肉用に養殖しょうという計画があったというのは初めて知ったので、少し調べてみた。

というわけで、今回は「River of Teeth」の作者サラ・ゲイリーが参考にしたというウェブ記事「アメリカン・ヒポポタマス」(ジョン・ムーアレム)を要約しつつ適宜ウィキペディアの記事を参考にしながらカバ牧畜計画について話をします。

magazine.atavist.com

 

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