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「国マニア」読書メモ

 

国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ! (ちくま文庫)

国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ! (ちくま文庫)

 

「国マニア」読んでる。

 

吉田一郎氏は飛び地に関してウェブ上に大量のアーカイブを残してたり、若い頃在りし日の九龍城に住んでいたり、さいたま市議になってみたりといろいろ面白い人なんですが、文章はわりとマトモで信頼できる(とぼくは思ってます)ので、「国マニア」はずっと読みたいなと思ってたわけです。

まだ途中ですが、ナウル共和国とツバルの話が面白かったので以下気になったところを引用したり。

ナウル共和国

リン鉱石で食っていた働かない国ということで有名。

1920年~太平洋戦争まではイギリス・オーストラリア・ニュージーランド委任統治領。三国の鉱山会社でリン鉱石を採掘。1968年に独立。世界で唯一公式の首都がない。

リン鉱石が枯渇した時のために、オーストラリアにオフィスビルを建てたり、航空会社を作ってみたり、グアム島にホテルを建ててみたりしていた。しかしどれも運営を外国人任せにして放漫経営だったため失敗。ペーパーカンパニーの銀行設立を認めてオフショアの金融センターにしようとしたが、マネーロンダリングにつながるとしてアメリカ政府に非難されて失敗。オーストラリアが受け入れたアフガン難民やイラク難民を引き受けて収容料を稼ごうとしたが、ホテルが難民で満室になり観光客が来れなくなってしまった。

リン鉱石が枯渇すると、賃金未払いが続いた出稼ぎ労働者が暴動を起こし、難民たちも「早くオーストラリアに移住させてくれ」と暴動を起こす。大統領官邸が襲われ、たった一台あった国際通話が壊れたため、一時は「国ごと音信不通」という状態に。

オーストラリア政府が「ナウル人全員にオーストラリア市民権を与える」と申し出たのにナウルの新大統領は「ナウル人としてのアイデンティティがなくなってしまう」と断る。

世界各国からの援助に頼って生きている状態。台湾政府と断交して中国と国交を結んだかと思えば、中国から1億3000万ドルの援助を引き出したところで再び台湾と国交を結んだりと、援助のためなら何でもありの無節操外交。

・ツバル

 国民は自給自足で食べているが、国家財政運営は厳しい。外貨収入はナウルの燐鉱山や船員としての出稼ぎ労働者からの送金、日本や韓国の漁船からの入漁料、コレクター向けの切手販売など。それをイギリス・オーストラリア・ニュージーランドの拠出で設立したツバル信託基金による運用益で賄う。ツバルは英連邦に加盟し、エリザベス女王国家元首にして、オーストラリアやニュージーランドと同様に国旗の左上にユニオンジャック。1993年にイギリスが援助を渋ると国旗を変更してユニオンジャックを外したことも(1年後に復活)

ツバルの土は珊瑚や砂がほとんどだから水を通しやすく、周囲の海面が上昇すれば、いくら堤防を築いて波を防いでも無駄。満潮時には島の中央部でも地盤の低いところで海水が湧き出て、洪水のような状態に。浸水した畑ではイモが塩分にやられて腐り、井戸も使えなくなった。島が海中に没するまでには数十年の時間があったとしても、食糧や水が自給できなくなり生活が不可能になるのは時間の問題。

ツバル政府は2000年に「全国民の海外移住」という決断をしてオーストラリアやニュージーランドと交渉を開始。オーストラリア政府は「海面上昇がまだ実証されていない」としてツバル人の受け入れを拒否。ニュージーランド政府は労働移民という形で2002年から毎年75人のツバル人を受け入れる制度をスタート。しかし地球温暖化による「環境移民」の受け入れではないから、年齢・英語能力・職業能力などの審査をパスする必要がある。つまりツバルを支える働き盛りで能力のある人間だけが移住。

タラケ首相は京都議定書を批准しなかったアメリカやオーストラリアの石油・石炭・自動車・タバコなどの関連企業を相手取り、二酸化炭素の排出を促し、地球温暖化と海面上昇を招いたとして損害賠償を求める訴訟を起こすと発表。これによって得たお金でオーストラリアから手頃な大きさの島を購入して全国民が国ごとそこへ引っ越そうという考えだったらしい。

また、ツバルが沈みゆく原因には、首都フナフティへの急激な人口の集中やそれに伴う埋め立てや土木工事の増加で珊瑚礁が破壊された面もある。

 

そういえばグレッグ・イーガンの「宇宙消失」で2028年頃に中国政府の圧力に耐えかねた台湾の人たちがオーストラリアのアーネムランドの部族連合の独立区(?)の一部を提供してもらって経済特区的な"新香港" を立ち上げ、2056年にはGDPがオーストラリアを上回ってる、みたいな話が出てくるのだが、ナウル共和国やツバルの話を読んでるとなるほどなと思わされた。南太平洋地域の動向って日本じゃあまり報道されない感じで今まで全然知らなかったんだが、やはりオーストラリアやニュージーランドは大きな影響力があるようですね。

宇宙消失 (創元SF文庫)

宇宙消失 (創元SF文庫)