人間が折り重なって爆発した

人間が折り重なって爆発することはよく知られています。

2.5DオールドスクールFPS『The Citadel』について思ったこと等

・『The Citadel』

FPSゲーム『The Citadel』をsteamで買ってプレイした。

store.steampowered.com

思ったことをメモ的にグチャグチャと書く。

FPSというかリアルタイムの反応が求められるゲームはメチャクチャ下手なのでクリアまでのプレイ想定時間が4~10時間と言われてるところを20時間かかってクリアした。ゲームとしてはオールドスクール2.5DのFPSと呼ばれる形のもので、要するにFPS黎明期の『DOOM』や『Marathon』に近い感じのもの。個人的に2.5DのFPSはすごい酔ってしまうので、2時間以上プレイすると気持ち悪くなってしまう(酔い止め薬とか飲めば楽になるのか?)。その所為もあってクリアに時間がかかった。『The Citadel』はグロ・ゴア要素が強いということになっているが、まあFPSとしてはちょっと過剰かな?くらいの印象で、そこまで強いグロテスクさではない。キャラクターがメカと少女の融合した形でネクロテックな雰囲気がある(作者は厳格にはネクロテックではないと言っているが)。また、ステージやキャラクターに宗教的なモチーフや絵の作り方がしてあり、弐瓶勉の『NOiSE』的な雰囲気を感じる。これがまた良い。個人的にはこのゲームは『Marathon』と『NOiSE』とネクロテックなゲームで、弐瓶勉Marathonが組み合わされるのはかなりグッとくる。ゲームとしてもよく作り込まれていて、作者のマップデザインや銃器への情熱が感じられる。というか、ゲームそのものより、これだけの作品を作れる作者の方が気になってしまって、最近かなりウォッチしている。作者・doekuramori氏はかなりのFPSマニアな感じで銃器好きという感じ。アメコミや洋画SFもけっこう見ている印象。ともかくよくモノを知っている御方のようです。下記は作者のブログで、個人的に面白かった話。ゴテゴテしたHUDは良い。

ゴテゴテしたHUDのはなし - Doekuramori - Ci-en(シエン)

doekuramori (@doekuramori) | Twitter

(以下、『The Citadel』についていろいろと自分が思ったことを書きますが、僕は『Wolfenstein』『RELICS』『Quake』『DOOM』『WARHAMMER40,000』等をプレイしていないので的外れなことを言っているかもしれません。ご容赦を)

(作者以外のツイッターや動画によればステージ切り替えの落下システムは『Quake』由来らしく、バトルシスターやヘヴィボルターといった名称は『WARHAMMER40,000』由来らしい)

『The Citadel』の主人公である殉教者(Martyr)のデザインは『AEon Flux』の主人公が元ネタらしく、ハイレグスーツみたいなのを着ててたしかにアメコミ方面の要素が強いのを感じる(攻殻草薙素子のハイレグもよく考えればこちら方面からの影響だったのだろうか)。『The Citadel』では主人公は機械化された少女(七天使の一人・Lysander)によって静止軌道衛星から呼び出されたという裏設定があるっぽいのだが、それは機械化された天使たちや<眠れる神>を倒せるのは完全に肉体の存在であるMartyrだけである、そうな。人工衛星に肉体が保管されてるのはなんか攻殻の原作っぽいよなとか思った。あと、機械化された存在に対置される生身の肉体というあたりは『BLAME!』っぽい。最初に斧くれる人は『NOiSE』っぽい(個人的に弐瓶勉の所為で、デカバイクに斧みたいなスタイルがクソ好きなので、サイバーパンクと斧が繋がっている)。天使たちの宗教団体(?)のロゴマークは統治局のロゴマークっぽい感じ。ゲーム中の武器商人であるTychoは『Marathon』シリーズに登場するAIで、良い奴だけどたしか敵の手に落ちて洗脳されたような。Lysanderという名前も『Marathon Rubicon』(サードパーティーマップ、オープンソース化されたMarathonを使って作られた同人版Marathon作品の一つ)に出てくるAIである。『The Citadel』冒頭の斧をもらう白い空間はカッコ良く、『Marathon Rubicon』あたりっぽい雰囲気を感じる(『2001年宇宙の旅』の最後の空間的な)。あと、EnforcerとかZeus PistolとかはMarathon由来。Deliriumのデザインは『アンカル』シリーズに出てくる両性具有の王みたいなキャラが元ネタだろうか?(作者は開発スクショで『アンカル』の三角形を作っていたりしたので、おそら読んではいると思う。僕は『メタ・バロンの一族』しか読んでないのでよく分かってない部分があるが……)。ところどころに登場する映画『スターゲイト』とかを思い出すようなエジプトのトト神めいた像とかすごい良い。謎の文字が流れる画面(『Marathon』シリーズのスフト文字みたいなターミナル?)とかもちらっと出てきて、天使たちの物なのか、あるいはもっと古代の遺物だったりするのか?みたいなのも良い。ラストのアレを「無常の果実」と呼んだり、銃器のことを「祭器」と呼んだりするのが良い。屋外ステージもひたすら赤い空だったり、そこに黒くて丸い月?が浮かんでたりするのも良。それでいて主人公はレーザーポインター的なもので航空爆撃支援もできたりする(武器で微妙に世界観に広がりが出るのは面白いなという感じがする)。個人的にどうにもTychoのキャラデザがファンタジーっぽくて浮いてる感じがあったのだが、どうやら開発途上のスクショを見るともっと中世ファンタジー的な要素の強いステージデザインになる感じでもあったようで、かつ、Tychoのキャラデザ自体は過去の氏の自作キャラクターの使い回しのような形でもあったようなので、この辺りは納得。個人的にはCereste、Lysander、Kroneあたりのデザインが好き。Ceresteをノン・コミュニケーションで倒した後にTychoから「Cereste様は~」みたいなエピソード聞くのは狙ってやったのかよく分からないが、喪失感がすごい(それはズルい)。反面、後半のGaussiaやKroneは一言くらいエピソードがあっても良かったという気がする。(作者は東方Projectの例を出して、あえて語らない作りにしているとは言っているが、プレイヤーが想像するにしても一言くらいタネがほしいのが正直な気持ちである。まあ、FPSにそういうのは不要と言われればそうなのかもしれないが)。また、ステージの作りもそれぞれコンセプトがあって面白い。市街地を巨大ロボでガシャンガシャン破壊したり、溶岩に沈んだ街をジャンプしながら飛び移ったり、空中庭園のようなステージがあったり、ひたすらショーケースをぶち壊すステージがあったり。ステージを構成するテクスチャ?の種類はそんなに多くないのだが、それぞれにきちんと美学がある感じが良い。あとまあ、敵を撃ったり燃やしたりした時の反応の仕方とかは個人的には好き(『Marathon』のボブの動きや声がかなり好きなので)(小学生の頃に『Marathon』と同時期にプレイしてた『Redline Racer』でコースアウトしたキャラが悲鳴上げながら吹っ飛んでいくのが好きで、ひたすら楽しかった刷り込みがある)(『The Citadel』は敵を溶岩や場外に蹴落としたりするのが楽しい)。ともかく、『The Citadel』は音楽以外は氏が一人で作り上げたゲームのようで(しかも制作期間が2年もない?)、それでいてこの完成度にはかなりビビってしまった。凄いゲームであり、凄い人である。次回作も制作中なので楽しみである。